SPACシンポジウム2018 を開催しました

投稿者: | 2018年11月30日

主催 一般財団法人衛星測位利用推進センター
共催 一般社団法人日本経済団体連合会
後援 内閣府宇宙開発戦略推進事務局
本シンポジウムでは2018年11月から本格運用が開始された準天頂衛星システム「みちびき」の利活用に係る最新のトピックスを紹介しました。来賓には自由民主党G空間社会実装委員長の新藤義孝衆議院議員がお越しになり挨拶をされ、また参加者は約200名と大変盛況でした。講演の概要を記載いたします。

1.基調講演:地理空間情報で拓く令和の未来
[黒川 純一良、国土交通省 国土地理院 院長]
最初の日本地図は、奈良時代の高僧「行基」が作ったといわれる「行基図」です。国家測量機関は、明治以来、技術の進歩や社会情勢にあわせて、わが国の位置情報インフラを整備してきました。高精度測位社会では、測位精度が上がるほど、様々なサービスや地図情報を矛盾なく安定利用するために、共通の基盤が必要不可欠です。国土地理院は、国家座標、地殻変動補正、標高の基準等の取組みで、誰もが安心して高精度測位サービスを利用できる環境を提供し、地理空間情報高度活用社会(G空間社会)の実現に貢献して参ります。

2.招待講演:みちびきとセキュアなドローン社会の実現
[澤田 雅之 元.警察大学校警察情報通信研究センター所長]
ドローンと呼ばれる小型無人機は、急速に発達しており、「みちびき」の高精度測位技術がインフラとなり、「空の移動革命」と「空の産業革命」を担うことが期待されています。ドローンがテロに使われた場合の対策としては、今後の5Gを含めた技術革新により阻止が困難になります。このため、実際のドローン位置とドローンのID位置との “ズレ”を無くすことが識別のためには重要になり、これには 「みちびき」の高精度測位の活用が強力な解決策となります。

3.招待講演:高精度位置情報の活用による社会課題解決に向けて
[杉浦 克尚 (株)NTTドコモ ソリューション営業推進・建設ソリューション 担当課長]
社会や企業のデジタル変革を支える革新的な技術としては、IoT、5G、AIがあり、これらがデジタルな世界で融合することにより、新たな価値創出や社会的問題が解決されていくと考えています。ドコモは、電子基準点とドコモのアセット(固定局)との組み合わせによる高精度位置情報が取得できる環境を整備し、これを基に社会課題解決に貢献することを目指しています。

4.招待講演:準天頂システム センチメートル級測位補強サービス(CLAS)の現状と普及に向けた取組み
[廣川 類  三菱電機(株) 鎌倉製作所 宇宙総合システム部 次長]
みちびきは、2017年に3機の衛星の打上げに成功し、実用サービスを2018年11月1日から開始しています。この機能の一つであるCLASは、国内向けにcm精度の測位補強サービスを無償で提供しており、世界初のものです。さらにCLASのユーザからのフィードバックを得て、可用性向上、地図との整合性、補強衛星数を50%増加させる新方式の適用による性能向上等に取り組んで参ります。

5.「みちびき」補強情報の利活用加速に向けたSPACの取組
   [三神 泉  (一財)衛星測位利用推進センター 専務理事]
SPACは、みちびきを核とした高精度測位サービスをあらゆる分野で、かつ地方にも広める活動をしています。具他的には、みちびきによる高精度測位受信体験デモ、初心者向教育、関連するツール開発等に取り組んでおり、QBICのアウトリーチ推進活動として実施しています。SPACは引き続き、皆様方と共に「みちびき」サービスの普及・浸透と早期の社会実装の一助として、更に貢献したいと考えていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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